手製の和綴じ文集「悶える 漂浪(され)く」の表紙・目次・奥付のデザイン
手製の和綴じ文集「悶える 漂浪(され)く」の表紙・目次・奥付のデザインをさせていただきました。スロウな本屋さんが2018年開催された、「寺子屋スータ」受講生のみなさんのレポートをまとめた文集です。
表紙のお写真は文化人類学者・松村圭一郎さん。この写真と、タイトルを拝見して、ぜひお引き受けしたいと思ったお仕事です。レンズを覗く人の心も写したような写真で、見た瞬間、外の喧騒が遠のき、しばし見入ってしまいました。行ったことはないけれど、この海を私も見たことがある。
美しい写真を最大限生かすべく、また和綴じして完成するデザインとなるよう、シンプルにまとめています。受講生の方が製本しやすいよう、背側は白地スペースを多めにとったレイアウトにしました。綺麗な和綴じ本に仕上がっているようで安堵しています。
この本は、受講生の方のみに配布されるもの。そうした本を、デザインを依頼し、印刷し、こうして丁寧に本にまとめるスロウさんの心意気が素敵です。なんて幸せな本だろうと思います。
和綴じ製本なので、2つ折りした紙を重ねて、糸で綴じて製本されます。
和綴じ製本なので、2つ折りした紙を重ねて、糸で綴じて製本されます。
上の画像は、表紙と表紙をめくるとあらわれる目次ページ。
美しい写真をトリミングしたくなかったので、目次にまたがるようにレイアウトしています。その結果、表紙では海に反射している太陽の光が、タイトルへと続くようなデザインになりました。
目次の背景に敷いた写真は、文字が読みやすいように淡くして、右端へ向かって次第に白に溶けていくようなグラデーションに。本文ページへと誘う仕掛けでもあります。
奥付
奥付と裏表紙では、美しい写真を全面に配置しました。
目次ページで淡くなっていた部分は、裏表紙ではクリアに見ることができます。
つまり、1枚の写真を使って、本文をサンドイッチしている感じです。
出来上がりを、スロウな本屋さんをはじめ、松村さん、受講生の皆さんが本当に喜んでくださって、私もとても幸せな気持ちになった仕事です。受講生の中には、家宝ですとおっしゃってくださった方も。お言葉に胸が熱くなり、感動しました。
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